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在日韓国商工会議所 兵庫のメンバーインタビューPart4。
今回のメンバーは協同組合広域情報センター 代表理事で当会議所 理事の播磨弘樹さんです。

兵庫韓商に入られたきっかけは

2005年、私が30歳の頃、兵庫韓国商工会議所(現、一般社団法人在日韓国商工会議所兵庫)が開催していた「若手経営者・起業家育成のための韓商経営塾」(韓商経営塾)に塾生として参加したことがはじまりです。当時は趙珉一副会長(現会長)が塾長を務めていました。

その後、2006年6月、兵庫韓商の傘下団体として設立した兵庫韓国青年商工会(兵庫青商)に設立メンバーとして参加・入会し、2021年4月まで約15年間在籍(卒会)した後に、兵庫韓商にお誘い頂き、同年7月に入会、現在、理事を務めています。

その様な意味で趙珉一会長とは「韓商経営塾」を皮切りに現在(2023年)に至るまで18年ほどお付き合いさせて頂いておりますので、私にとっては事業経営者としての師匠でありますので、今でもお会いする時はついつい緊張してしまいます(笑)

■「韓商経営塾」はどこで知りましたか?

当時、兵庫韓商事務局長だった康正亨さん(現、専務理事)から「経営塾というのがあるけど参加しませんか」と誘われたのがきっかけです。「韓商経営塾」には2005年(第5期)から2007年(第6期)にかけて参加しました。またその後「韓商経営塾」から、近畿地区韓商レベルで地域を拡大し、スタートする事になった「東アジア経営塾(SEA@BIZ)」にも継続して参加させて頂きました。

兵庫韓商では現在、理事を務めると共に「東アジア経営塾(SEA@BIZ)」を主管する戦略研究特別委員会の委員でもありますので、経営塾を企画・運営する立場としても関わらせて頂くなど、経営塾は私のライフスタイルの一つにもなっています(笑)

■創業に至る経緯をお聞かせください。

大学卒業後、会社勤めをしていましたが、2001年9月の結婚を機に、義父が愛知県名古屋市で運営していた事業協同組合に通って高速道路料金別納制度を学びました。半分は自宅、半分は愛知という生活が1年半ほど続き、2003年3月に宝塚市で事業協同組合を立ち上げました。それが「協同組合広域情報センター」です。

パートさん1人を雇用して始めたんですが、9月にはその制度が廃止となりました。同制度を利用した様々な不正事件があったのが原因です。そんなこともあり初年度の売上高はわずか55万円、組合員企業は5社というスタートでした。

■その後、どうなりましたか?

なくなった制度は名神高速道路が開通した年からあったもので、当時はETCはなく、あくまで後払いができるカードというものでした。それが2005年4月から別納制度の後継の制度が始まり、現在もそれを事業として行っています。高速道路料金支払専用の法人向けETCコーポレートカード(大口・多頻度割引制度)と、ETCクレジットカード(ETCマイレージサービス)の貸与および共同精算事業です

運送会社は通常、一般的なクレジットカードの与信が通らない事が多く、すると支払いは現金になってしまいます。そこで協同組合が先に保証金を道路会社に入れ、その代わりに道路会社からETCカードを借り、それを運送会社に貸与するんです。たとえば運送会社が100万円使ったとします。私たちは運送会社に90万円の請求書を出し、道路会社に80万円だけ払う。すると運送会社は10万円安くなるし、私たちも10万円分支払いが少なくて済みます。逆に80万円払ったのに90万円が回収できないとなったら、それは当組合がかぶります。大口であるほど割引があります。

事業は順調でしたが、コロナパンデミックによって観光需要の減少とともに観光・高速バス需要も減少しましたので売り上げも大きくダウンしました。また、物流センターがたくさんできたこともあり、トラックも長距離からセンターからセンターまでと走る距離が短くなったことも売上減少の一つでもあります。昔のトラック野郎みたいな人はどんどん減り、大型トラックの運転手でも仕事は日帰りが多くなりました。昔は九州で積んで青森まで運ぶこともありましたけど、物流拠点なども整備されたこともあり今では少なくなっています。

第二の創業をされたそうですが。

2007年7月、ちょうど第6期の経営塾が終わったころ、当時の民主党政権が高速道路を無料にしようという政策を打ち出し、これからはこの事業だけでは厳しくなるかなと悩んでいました。その時に加古川にある協同組合さんから「外国人研修生制度」という事業があると聞き、今後、この制度・事業が日本で拡大するであろうと考え、加古川の協同組合さんに通って制度の勉強を始め、創業に至りました。技能実習生および特定技能外国人(2019年~)を受け入れる企業へ紹介し、また受け入れの監理やサポートを行う事業です。

現在(2023年)の受入れ国は、中国・タイ・ベトナム・カンボジア・ウズベキスタンの5か国です。常勤母国語相談員(通訳者・翻訳者)をおいて外国人就労者からの相談に対応し、受け入れ企業に対しても定期的な面談を行います。給料計算などの相談にものります。さらに在留資格認定申請、在留資格変更や在留期間更新手続きの代行も行っています。

日本に来た技能実習生たちに対しても生活や仕事に必要な日本語も教えます。また言葉以外にも、警察に来てもらって交通指導をして頂いたり、近隣のスーパーで買い物をしたり、金融機関での入出金の方法や病院での診断を受ける方法など1か月で160時間の講習を行っています。

■よく言われる監理団体に当たるわけですね。

技能実習生に対してはそうですが、特定技能外国人に対しては「登録支援機関」という名称になります。監理(監督と管理)か支援かです。監理は責任が伴い、受け入れ企業に給料未払いがあったりすれば監理団体は連帯責任を負うことになります。しかし、特定技能外国人はあくまで支援ですので、その様な義務はありません。側面からの支援、責任が伴わないサービスです。ですから技能実習生の事業は協同組合や商工会議所、公益社団、財団でないとできませんが、特定技能外国人の事業は株式会社でも可能です。

流れとしては、まず受け入れたいという企業さんからどの様な人材を望んでいるのか、賃金・休日等の労働条件などを聞きます。そして各々の国にある募集会社に情報を伝え、現地で人材を募集し、現地に赴いて面接します。そこで決まれば、私たちで在留手続きを行い、入国後は講習を行った後、企業さんのところで働くことになります。またその後も毎月定期的に訪問して、監理と支援を行います。

■技能実習生事業をやろうと決めた動機は?

制度を学ぶ過程で、日本での実習を終えて帰国するという人たちに何回も会いました。多くの人が「日本に来られて良かった」「本当にお世話になりました」「これで自分の人生はすごくよくなります」と感謝を述べている場面を見て、「こんなに喜ばれるのか」と驚きました。中国で元実習生と会って「日本での経験をもとに、今はこの様な大きな会社を経営しています」という話を聞いたときは、農村の貧しかった子が3年間の実習生としての経験を積む中で、ビジネスチャンスをつかん成功しているということに感動を覚えました。

ETCカード事業と違って技能実習生事業は、人に接し続け、経験を重ね、祖国で新たに歩むという人の人生に関わる仕事なため、とても難しい事業ですが「やってみたい」と思いました。

加古川の協同組合さんから1社3名の中国人研修生を譲り受ける形で始めましたが、現在の受け入れ人数は、一時帰国中及び面接終了後の入国待ちを除き、2024年9月末現在で885名です。技能実習生が748名で、特定技能外国人が137名です。これまでの延べ人数は数千名になります。

ETC事業も含めた売り上げ高は今年が30億6224万円です。組合員企業は1884社、賛助会員企業は1831社です。

■今まさに隣の部屋で技能実習生たちが講習を受けていますね。

今は40人くらいが講習を受けていますね。当組合はこの様な講習施設を自前で持ち・運営していますが、経費がかさむこともあるので多くの組合では施設を持たず日本語学校に任せている部分もあります。

自前で施設を運営するメリットとしては、各企業さん向けの授業ができることがあります。企業さんで扱う部品や機械の名前などを教えることもできます。それに技能実習生が日本で働き出してからは頻繁に会うことはありませんが、ここにいれば担当職員や母国語相談員(通訳者・翻訳者)がいて、いろんな話をできるなど安心感と人間関係を築いて頂くこともできます。

また当組合は寮もあります。現在は計8部屋で、ひと部屋に3人から6人ぐらいが住んでいます。

■成功談や失敗談などあればお願いします。

私の父は市役所職員で生活は規則正しく、私は経営者どころかサラリーマン家庭の生活を経験することもなかったので、当初は経営者とは何かわかりませんでした。そんな時に経営塾に参加して経営者としての心得や心構えを学びました。その時からのお付き合いである社会保険労務士の高龍弘さん(※現韓商副会長)には当組合の理事になって頂いたり、給料賃金などに関してサポートを頂いています。また行政書士の金成男さん(現韓商常任理事)には在留資格のことを教わり、また現在も技能実習生に対して定期的に法的保護講習を行ってもらっています。

その様に考えると兵庫韓商・経営塾で出会い、そして培った人脈や経験がプラスになっている、それが成功談と言えるかもしれません。

■経営理念をお聞かせください。

使い古された言葉かもしれませんが、当たり前の事を当たり前にやるという「凡事徹底」です。外国人就労者の受け入れは形あるものを製造・販売する事業ではなく、“心を尽くす事業”です。私たちが知り・経験したことをどれだけ親切・丁寧に彼・彼女ら、そして企業さんに伝えてあげられるかが大事です。就労者と企業の双方が満足して頂き、できるだけ長く就労できるように、当組合がこれまで培ってきた知識や経験を惜しみなく提供することを当たり前のものとして実践する、これを大切にしています。

■今後の目標は?

これからの日本はますます人材不足が顕著となります。外国人就労者の受け入れが一番の解決策だとは思いませんが、外国人就労者の受け入れも必要な対応策です。

そこで今後は現在扱っていない「留学」や「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格にも対応し、様々な立場の外国人就労者を扱うことをめざしています。

そのために新たに3つの事業を検討しています。
まず文部科学大臣の認定を受けた日本語教育機関、すなわち留学生を扱う日本語学校の設立および事業承継です。
特定技能外国人では外食業やホテル業の企業さんからオファーがよくあります。でも外食業は技能実習生の分野にないので、最初から外食業で獲得しようとします。すると日本語検定のN4というレベルを最初から取得していないだめなんです。そのために日本語学校の設立を進めたいと考えています。

次に玉掛け(クレーンのフックに物を掛け外しする作業。資格が必要)やフォークリフトなどの労働安全衛生法に基づく技能講習または実技教習を行う登録教習機関の設立および事業承継です。
この様な業務は登録教習機関でなければ正式な免許が取れません。そこにはほとんど通訳がいないので、企業さんが資格をとってもらいたくても難しい現状です。この教習機関も自前で作れば必要な資格の取得をサポートすることができます。

3つ目は都道府県公安委員会が指定した指定自動車教習所、いわゆる自動車学校の設立および事業承継です。
今年度中には特定技能外国人にトラック、バス、タクシーの運転手が入ります。技能実習生自身も運転免許があれば行動範囲も広がるし、企業さんもとても助かります。

今、日本の若い子たちは運転免許の所持は以前に比べて減少しています。それにより地方の自動車学校の運営状況はあまりよくありません。その様な自動車学校と連携する、または譲受して頂くなどして、常勤の通訳者をおいた外国人専用または外国人も通うことができる自動車学校を創ることができればと考えています。教習所は合宿にして、自動車教習所と技能講習の登録教習を併せるようにして、「この合宿しに来たら、運転免許と重機の免許の両方取れますよ」みたいなことにできたらいいですね。

■このホームページをご覧の方へ一言。

私は韓国にルーツはなく生粋の日本人です。韓国と日本は近い国ですが文化や慣習は異なります。日本人には無いアイデアと発想で多くの在日韓国人が様々な事業で成功されてきました。

日本の経済団体では得ることのできない人脈や販路を求めて、韓商には現在多くの日本人経営者も参加しています。どうぞみなさんも入会してください。ここで得られるアイデアや発想は何にも代えがたいものですよ。

Who am I

協同組合広域情報センター 代表理事

播磨弘樹

■協同組合広域情報センター 組合概要
協同組合とは中小企業等協同組合法により、行政の認可によって設立され、中小企業が組合事業を通じ、企業経営の合理化と競争力の維持・増強を図り、経済的地位の向上を図ることを目的とした組織です。

所在地 【本部/総務・経理部】
〒665-0034 兵庫県宝塚市小林2丁目10-4 サンパレス21小林1F
TEL. 0797-73-0816(代表)
FAX. 0797-26-6560【ETC・燃料カード事業部】
〒665-0034 兵庫県宝塚市小林2丁目10-4 サンパレス21小林1F
TEL. 0797-26-6503
FAX. 0797-26-6504【外国人就労者受入事業部(監査指導課・支援業務課・日本語教育課)】
〒665-0034 兵庫県宝塚市小林2丁目10-4 サンパレス21小林2F
TEL. 0797-26-7208
FAX. 0797-73-0817【日本語学習センター】
〒665-0034 兵庫県宝塚市小林2丁目6-12 小林駅前ビル3階
HP
E-Mail
HP)http://kouiki-info.or.jp/
E-mail)center@kouiki-info.or.jp
代表者 代表理事 播磨 弘樹
設立日 1995年(平成7年)7月28日
出資1口 金1,000円 (年会費・月会費 なし)
出資金 金2,449,000円
認可省庁 内閣総理大臣・総務大臣・厚生労働大臣・近畿財務局長・近畿地方環境事務所長・大阪国税局長・
兵庫県知事(7行政庁)
認可地区 青森県を除く46/47都道府県
事業内容
  1. 外国人技能実習生受入れのための監理団体事業
  2. 1号特定技能外国人受入れのための登録支援機関事業
  3. 生活者としての外国人のための日本語教育事業
  4. 高速道路料金支払専用法人ETCカードの共同精算事業
  5. 燃料(ガソリン・軽油)給油専用法人カードの事務代行事業
  6. 兵庫県中小企業団体中央会の団体割引保険制度事業
  7. 組合員の福利厚生に関する事業